ある日、TVをつけていたら、何気に本屋さんがお勧めの本を紹介しているコーナーが写っていました。
「男役」 ん? お・と・こ・や・く?
中山可穂という作家が書いた本で、
一気に物語に引き込まれて面白いですよという紹介でした。
残念ながら中山可穂さんという作家を
存じ上げていなかったので、若手の作家の方かと思っていました。
読み終えて、あとがきを読んで、私より年上のお姉様。
そして、私と同じベルバラをみてファンになった方でした。
さて、この本Amazonでも売れきれ!近くの本屋にも もちろん在庫なし。
たまたまとなりの駅の大型書店(有隣堂ですが)で、
一冊だけ残っていたのを購入しました。
「面白かったです、ぜひ、宝塚ファンであるなら読んでほしい一冊です」(私、本屋さんではありません)
ストーリーはまだ、読んでいない方がいるので、書きません。
ただ、あとがきに
ひょんなことから、元宝塚トップスターと8時間ぶっ続けでお話する機会があったと書いてありました。
「その8時間のあいだ、わたしはもっぱら彼女の話に耳を傾けていた。
ややぶっきらぼうに、しかし注意深く言葉を選びながら、
静かな声で淡々と話される方だった。
お互いシャイで饒舌なほうではないから、
話が弾んで止まらないという状況からはほど遠かったけれども、
それでも堅い岩盤から少し水が染み出るように、
彼女はぽつりぽつりと言葉を繰り出していき、
やがてひとつのまぎれもない真情が浮かび上がっていった。
男役という人生を降りたあとで表現者としてどう生きるべきか、
その真摯でリアルな苦悩と、理不尽な悲しみが、
かぼそい魂のふるえとなって私に伝わり、わたしの胸をもふるわせた。」
「男役」あとがきより抜粋
この魂のふるえがこの小説を書きたいと思った直接の執筆動機だったとも書いてありました。
このあとがきを読んで、ずっと男役トップスターが宝塚を卒業する理不尽さを感じていたので、ものすごく共感しました。
歌舞伎の世界なら女形を探求し演じることを一生涯できるのに、
宝塚のトップスターになってしまうと(専科でも定年なんて酷い制度だと思います)卒業というのが待っている。
外の世界では男役という芸を披露する場がない。
本当にもったいないことであるとサヨナラ公演の度に思う。
現に星組トップスターの柚希礼音は素晴らしい男役の芸を身につけたが、
今後、彼女のこの芸をみることはないのである。
本人が一番辛いことなんだなあと改めてこの小説を読んでわたしの胸も震えました。
あるトップスターは、千秋楽の次の日から天と地ほどの世界になるのが
嫌で出来るだけ早くに
引越しをしたという噂も聞いたことがあります。
祭りのあとの寂しさでしょう。
でも宝塚という所はそういう所といってしまえばそうなんだけど・・・
なんだかやるせなさが残る結末でした。
いつか機会があったら他の登場人物を主人公にした小説を書いてみたいと
書いてありましたので、楽しみに待っています。
この元トップスターというのは誰かは読めばわかると思います。
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